OMアロイの特性
・ 硬度が高く、耐摩耗性にすぐれています。
・ 摩擦係数が小さく、すべり性がすぐれています。
・ 潤滑性が良く、焼付き、絞り傷がつきません。
・ 限界絞り率を大きくすることができます。
・ ロールの焼付き・スリップ傷がつきません。
・ 機械加工性が良好です。
・ 熱処理・表面処理は不要です。
OMアロイの用途
・ フォーミング用ロール(OM28F)
ミガキ鋼板、ステンレス鋼板、チタニウム板、ジルコニウム板、アルミニウム板、表面処理鋼板等のフォーミング
・ 絞り・曲げ・その他成形用金型(OM33F)
厨房器製品、自動車部品、家電製品、弱電・重電機部品、ガス器具部品、農機具部品、圧力容器、建築金物等の成形
・ その他 機械部品、金型部品
潤滑性
OMアロイの潤滑性は、鉄系金型材およびアメリカ製銅基合金よりすぐれています。すなわちOMアロイは鉄系金型より摩擦抵抗が小さいため、絞り製品のショックライン幅が小さく、最大ポンチ荷重も小さい。またOMアロイは鉄系金型よりすべり性が大であるためSUS304およびSPCDのいずれに対しても限界絞り率が大です。
なお、OMアロイに適用する潤滑材は市販21種類に対してその適応性を調査した結果、従来、鉄系金型材に使用されている潤滑材をそのまま適用してよいことが判明しています。
型材料としての特性
OMアロイは、潤滑性、すべり性、耐摩耗性、熱伝導性などプレス加工用の型材料としての特性をすべて兼ね備えています。
すなわち、潤滑効果が大であれば、油膜切れがなく、焼付き、すり傷等が防止できるとともに絞り性が向上し、生産性があがります。
すべり性が大であれば、深絞り加工限界が向上し、絞り工程が短縮されるため、コストダウンと生産性が向上します。
耐摩耗性が大であれば、金型のメンテナンス費が安くなり、また金型のメンテナンスに必要な作業休止時間が減少し、生産性の向上につながります。
熱伝導性が大であれば、ブランクの変形熱および摩擦熱を吸収し、ブランクの温度上昇を防ぐとともに金型断面の温度勾配が少なく、金型各部の温度が平均化され金型表面の温度は低くなります。したがって、潤滑効果が増大し、かつ絞り性が向上します。
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